脳科学研究者の皆さまへ

このページをごらんになっている脳科学研究者の皆さんは、ご自身の研究成果が社会にどのような影響を与え、どのような問題を生じるうるのか、という点にご関心があることと思います。自らの研究成果の影響に心を配る皆さんの姿勢は、責任ある科学者の姿勢に他なりません。何より私たちは皆さんのその姿勢に対して心より敬意を表したいと思います。

さて。
研究成果の社会的応用の問題を考えるとき、注意しなければならない点がいくつかあります。まず、「技術がうまれてから、問題を考える」のではなく、研究開発の初期段階からその正の面・負の面を考えていく必要があります。
また、研究成果の社会実装の問題を考える際には、私たちの社会を構成する多様なメンバーとともに議論することが欠かせません。「私たちはどのような技術なら受け入れられるか」という議論は、「私たちはどのような社会のあり方を望んでいるのか」という問題と不可分です。もちろん、私たちの社会がどうあるべきかという価値に関する議論に一定の答えを出していくのは非常に困難です。しかし、困難だからといって何もせずにいてよいわけではありません。こうした価値に関する困難な問題に対しては、さまざまな人がさまざまな立場から対話し、それぞれが応答しあい反省しながら考えていくしかありません。

この「脳科学ひろば」は、ご自身の研究成果社会実装されるときどのような問題が生じるのか、多様な立場の市民の皆さんと一緒に考えていく機会を提供いたします。

おおよその手順は次の通りです。

  1. 研究者の皆さんにご自身の研究をご説明いただき、その社会実装についてご提案いただきます。
  2. 次にさまざまな立場の市民の皆さんから、疑問や感想などのコメントを募り、
  3. 研究者の皆さんに、コメントに応えていただきます

もしご希望があればコメントの形式を限定するなどのアレンジも承りますし
イベント(オンライン/対面)を実施するお手伝いもいたします。
実りある市民対話を実現するお手伝いができれば幸いです。さまざまなステークホルダーとの対話を通して、責任ある科学研究が推進されることを私たちは心より祈念しております。

  • 国立研究開発法人科学技術振興機構 研究開発戦略センター
    「ELSIからRRIへの展開から考える科学技術・イノベーションの変革
    -政策・ファンディング・研究開発の横断的取り組みの強化に向けて-」
    https://www.jst.go.jp/crds/pdf/2021/RR/CRDS-FY2021-RR-07.pdf
  • 標葉隆馬『責任ある科学技術ガバナンス概論』(ナカニシヤ出版、2020年)

※私たちは、「科学技術に関する、専門家と非専門家の対話・協働」の実践を支援するツールを作成しております。本ウェブサイトの「アーカイブ」に収めてありますので、ぜひご覧ください。
(「脳科学ひろば」の一部は、このツールに基づいて設計されております。)